派遣の抵触日って何?
派遣スタッフにとって、派遣先の職場の雰囲気は気持ちよく働くために、とても大切な要素ですよね。
残業もほぼなく、高い時給を貰いながら良い雰囲気の職場にいると、これからもずっとここで働きたいという気持ちになります。
しかし、「抵触日」を迎えてしまうと派遣スタッフは同じ派遣先では働けなくなってしまうのです。
良いところ悪いところ、どちらもある制度ですが、法律で決まっていることなので避けては通れません。
「居心地の良い職場だけどいつまでもいられない」
派遣スタッフは就業から1年、2年と時間が経つごとに今後のことをしっかり考えないといけないのです。
目次
抵触日の例外となるケース
3年を超えて同じ派遣先で働くことができなくなるルールが定められていますが、抵触日を過ぎても例外となるケースも存在します。
- 働いている人が60歳以上のケース
- 派遣会社に無期雇用されているケース
- 産休・育休・介護休暇を取る人の代わりに業務を行うケース
- 勤務日数が通常の半分以下かつ10日以下のケース
- 終わる時期が明確なプロジェクトに派遣されているケース
以上どれかに当てはまる人については、3年ルールは適用されません。
派遣スタッフとして勤めている会社で抵触日を迎えた場合
派遣スタッフとして働いて、3年が経過しようとしている場合どうすればいいのか。
まずは例外となるケースに当てはまるかどうか確認しましょう。
※「無期雇用されているケース」については、派遣スタッフだけど抵触日が適用されない無期雇用でご紹介しています。
そして例外となるケースに当てはまらなかった場合、必ず何らかの対応が求められます。
手段1:派遣先に直接雇用してもらう
派遣の3年ルールは派遣スタッフとして働ける期間を定めたものす。
そのため、派遣会社ではなく派遣先に直接雇用されれば、同じ会社で3年経過後も働き続けることができます。
3年も働き続けているのであれば、その派遣スタッフは戦力として認められていることでもあるので、直接雇用されるケースが多々発生します。
しかし、あくまでも派遣先の申し出る必要があるため、さまざまな事情がからみ優秀な人でも直接雇用には至らない可能性も少なくありません。
また、直接雇用=待遇アップではなく…逆に待遇が悪くなったなんて事も起こりえます。
直接雇用の申し出があった場合も、提示された条件をしっかり確認しましょう。
派遣の働き方が気に入ってはいましたが、一応条件だけ確認すると、待遇アップどころかダウンしている内容でした。
それをキッカケに、派遣先とはおさらばしましたね。
手段2:契約終了し別の派遣先を探す
抵触日を迎え派遣先からの直接雇用の打診がなかった場合、取れる手段は“契約終了し別の派遣先を探す”のみになります。
今の職場が居心地良いのに、また会社選びから始めないといけないのは面倒ですが、法律で定められている以上避けては通れません。
ただ、この時に意識して欲しいのが「自分は能力不足だから直接雇用されないんだ」と思わないことです。
派遣先にも部署ごとの事情や会社全体としての事情などあり、一概に直接雇用なし=能力不足とも言えません。
そもそもなぜ抵触日の制度があるのか?
そもそものお話になりますが、なぜ抵触日(派遣の3年ルール)があるのでしょうか。
制度が定められた理由は、派遣スタッフの雇用の安定という目的があります。
「臨時の補強であるなずの派遣スタッフを3年も雇用している。それだけ人手を必要としているのなら直接雇用してスタッフの立場を安定させて」
の意味合いが込められているのです。
派遣スタッフの立場が不安定なのは事実であり、派遣先の考え一つで契約を切られることも少なくないと思います。
なので、派遣スタッフを守る意味でも素晴らしい制度ではあります。
しかし、管理人のように好きで派遣をやっている人にとっては、良い雰囲気の職場も3年しか働けない足かせになってしまっているのが現状です。
メリットデメリットのどちらも一理ある制度ですが、多くの派遣スタッフが満足する形はないのかなと思うこの頃です。
派遣スタッフだけど抵触日が適用されない無期雇用
派遣スタッフが同じ派遣先で3年を超えて働けない抵触日について、例外となるケースに“無期雇用されている場合”があります。
無期雇用とは、派遣会社に無期限で雇用されている状態のことで、通常の派遣スタッフよりも雇用が安定しているため抵触日の例外とされているのです。
元々若い世代のキャリア形成を目的としている制度で、派遣スタッフと正社員の中間のような働き方と表現されることもあります。
そんな無期雇用についての特徴をご紹介します。
無期雇用派遣と有期雇用派遣の違い
無期雇用派遣と一般的な派遣(有期雇用派遣)はどのように違うのか。
主だって異なる点を見ていきましょう。
無期雇用派遣
雇用:派遣会社と無期限で契約給料:月給制
賞与:あり
有期雇用派遣
雇用:派遣期間中のみ派遣会社と契約給料:時給制
賞与:なし
また、無期雇用派の場合は派遣スタッフとして働いていない待機期間も給料が発生します。
派遣先Aでの就業が終わり、派遣先Bへ就業するまでの期間も給料の対象なので、有期雇用派遣と違い収入が途切れることがありません。
このように、給料・収入の面で見ると、無期雇用の方が優遇されているのです。
メリット:待遇が正社員並みになる
無期雇用派遣であれば、月給制で賞与もあります。
気に入った職場であれば抵触日のルールも気にせず働けるので、厳密には派遣スタッフでありながら正社員並みの待遇を得られるのです。
また、若い世代のキャリアアップが根底にあるため、長期的なキャリアを重視している大手派遣会社への派遣が必然的に多くなります。
正社員並みの待遇に加えて、通常正社員としては入れないような大手でも働ける。
派遣スタッフにとって挑戦してみるメリットの大きい制度が、無期雇用なのです。
デメリット:派遣スタッフとしてのメリットがほぼなくなる
派遣スタッフにとっても魅力的な無期雇用ですが、メリットの大きさの分デメリットもあります。
- ×派遣会社側での採用試験がある
- 一般的な派遣スタッフは、登録の意志があれば登録できます。
しかし、無期雇用は派遣会社にとっても安易な判断ではできないので、採用に値するかどうかの試験があります。
- ×派遣ならではのワークスタイル確立はできない
- 時短勤務などの希望条件を貫いたり、豊富な求人から自分のやりたいことを選んでお仕事をする。
派遣スタッフならではの働き方ですが、無期雇用では自由なワークライフ確立はできません。
フルタイムでの勤務、月給制なのだからと空白期間を作らないように、今ある求人にとりあえず派遣される。
派遣スタッフのメリットだったはずの自由な働き方は、無期雇用になるとほぼ確実に失われてしまいます。
- ×派遣先の大半が都内
- 大手企業への派遣が多くなるため、派遣先となる場所は都内がほとんどです。
地方在住の人はほぼ利用できません。
無期雇用制度が設けられている派遣会社
無期雇用の制度は大手の派遣会社であれば、どこの会社でも用意されています。
・ファンタブル(テンプスタッフ)
・キャリアシード(アデコ)
・キャリアウィンク(リクルートスタッフィング)
・マイナビキャリレーション(マイナビスタッフ)など
登録を考えている場合は、派遣会社としての評判や口コミだけでなく、その会社の無期雇用派遣制度についての評判・口コミもチェックしましょう。
抵触日を迎え無期雇用を迫られた時の注意点
無期雇用はメリットも十分ある働き方ですが、デメリットも負けず劣らず大きい制度です。
一般的な有期派遣と給料や賞与などを比較すれば優れているようにも見えますが、派遣らしい自分なりの働き方はできません。
どこに派遣されるかも分からない、無期とはいえ派遣なので切られる時は切られる。
正社員並みの待遇という表現もできますが、「並み」であって総合的に判断すれば正社員より劣ると言わざるをえません。
派遣として長く働くなら知っておきたい抵触日と無期雇用
派遣という働き方を選ぶ人の中には、個人個人でさまざまな背景があります。
「正社員転職までのつなぎとして」「派遣の自由な働き方に憧れて」
つなぎなど短期の派遣であれば別ですが、派遣の働き方を選び1年2年とそれなりの年数を重ねるつもりであれば、避けては通れないのが抵触日です。
合わせて、抵触日の例外ケースとして注目されている無期雇用制度も、派遣スタッフであれば知っておかなければならない知識となります。
しっかり制度の内容を把握し、いざという時に慌てないよう、少しずつでも将来のことについて考えるようにしましょう。
例えば4月1日に働き始めた場合、派遣スタッフとして働けるのは3年後の3月31日までです。
そして、働くことができなくなる3年後の4月1日を「抵触日」と言います。